【自治体半滅時代】誰が空き家(= 遊休資源)問題に取り組むべきなのか


空き家、及びその予備軍は遊休資源

笑恵館

 

前回は『空き家化の始まりは「子供が実家に戻らない」と決めた時』というテーマで書かせていただきました。住んでいる人がいるのに空き家問題という言い方も大変失礼かと思いましたので、遊休の土地や家屋の問題としてそれらを「遊休資源(敢えて資産ではない)」と位置づけ、今回は、その問題に「誰が取り組むべきなのか」を考えてみたいと思います。

魚を捌くのが少しずつ上達してきた、Fabo の加古です。

 

国や地方自治体が取り組むべきか

 

遊休資源の活用問題のような社会問題は通常、国や地方自治体が取り組むべきだ、とお考えの方が多いかと思います。もちろん潤沢な財源があり、国や地方自治体がこの問題に真剣に取り組んでくれるのであればそれに越したことはありません。しかし、国や地方自治体だけに任せてきた結果が今の「既に起こっている未来」になっています。

また、とある行政機関では、市民からの土地や建物の寄付を受け付けるのを止めていると聞きます。これは、受け取った後の親類などからの訴訟リスクや結局活用にお金がかかってしまい財源を圧迫する、ということなど上手く活用できていない現状があるようです。

そもそも、国や地方自治体に空き家などの遊休資源を活用するような機能が備わっていないのです。

更に先日の日経新聞に

日本の人口が減ると、全国の地方自治体の維持が難しくなるとの長期推計が相次いでいる。元総務相で東大の増田寛也客員教授らは8日、2040年には全国1800市区町村の半分の存続が難しくなるとの予測をまとめた。国土交通省も全国6割の地域で50年に人口が半分以下になるとしている。ある程度の人口を保つことを前提にした国土政策は見直しを迫られる。

(出典: 日本経済新聞 2014/5/8 『自治体、2040年に半数消滅の恐れ 人口減で存続厳しく』

というショッキングな記事が掲載されました。

遊休資源の活用もさることながら、自身の存亡も危ういという状況で、ある意味国や地方自治体だけにこの問題を任せるのは、かわいそうなのかも知れません。

 

民間に期待できるのか

 

それでは、自治体がダメなら民間で、ということで最も身近な不動産業やリフォームの会社でイメージしてみます。遊休資源は、一般的に市場では価値が低く、そもそも優良物件や財源のある物件のみを取り扱っているこれらの企業にとっては、投資回収が困難でゼロからの再生や活用が前提となると期待することは困難でしょう。

また、最近では一軒家を借り上げて、シェアハウス、シェアオフィス、コミュニティスペース、カフェ、などに作り替えて活用している会社もあります。良い取り組みですが、又貸しであることが多いため、賃料やリフォームコストの回収でそれなりに高い料金設定になってしまっているのが現実です。加えて、このスタイルで活用が進めば価格競争に陥る危険性もあり、又貸しでは収益を確保することが難しくなる可能性があります。

更に又貸しの課題として、オーナーの意向と言うものがあります。例えば空き家の場合、耐震対策に投資ができず、あるタイミングで「少しでも地震によるリスクがあるのであれば貸さない」となってしまったり、ご近所からのちょっとしたクレームで、不特定多数の方が集まるような貸し方に、急に消極的になったりすることが多々発生します。せっかくの良い取り組みでも、いつ使えなくなるかわからない、契約を更新してもらえなくなるかも知れない、というリスクがついて回ります。

 

誰が遊休資源の活用問題に取り組むべきなのか

 

前置きが長くなってしまいましたが、それでは「誰」がこの問題に取り組むべきなのでしょうか。

 

それはオーナーしかいないと思います。

 

そんなことわかっている、という方も多いでしょうが、これが現実解です。今までの不動産オーナーと言えば、持っている不動産の使用権を不動産屋を通して貸し出し、賃料で稼ぐというイメージが一般的では無いでしょうか。

しかし、最近では、成功しているアパートオーナーは不動産屋や管理会社に頼り切りにならず、自ら清掃や修繕、近隣問題に取り組んでいると聞きます。振りかかるリスクを自ら背負い、正面からビジネスに取り組むオーナーが増えているのです。

そうです、オーナー自身が立ち上がることがベストなのです。

 

オーナーが自ら立ち上がった実例

 

例えば札幌市にある人気イタリアンレストランは、民家の1階に店を構えています。子育ての終わった夫婦が広すぎる家に住んでいたところ、偶然の出会いから、1階部分を独立を夢見ていた若いシェフに貸したのです。

通常このような場合、店舗物件を借りると思いますが、札幌の1等地であれば月100万円程度の家賃にもなります。もちろんこのような物件を借りて経営するというのもありですが、賃料が高い分、価格に転嫁するか材料費を落として粗利率を上げないと人気店とは言え、長くは続けられません。

そこで、立地の良い一軒家の1階に店を構えることでコストを抑え、リーズナブルな価格で素材も良い人気レストランにすることができたそうです。また、こちらのオーナーは趣味で有機野菜を栽培しており、今では店に出すほどになっているとのことです。単純に遊休資源を提供するだけでなく、積極的にそのビジネスに関わっている素晴らしい例だと言えます。

 

オーナーの思いからスタートした笑恵館(しょうけいかん)

 

前回でもご紹介した世田谷区砧にある笑恵館もオーナー自らが立ち上がり、地域に根ざした「みんなの家」のオープンにまで漕ぎ着けました。『SHO-KEI-KAN展』と題したグランドオープンのイベントが、明日(2014年5月24日~6月1日)からスタートします。

始まったばかりで道半ばではありますが、オーナーが自ら立ち上がった例を多くの方に知っていただく良いきっかけかと思います。近隣の方は是非この機会に足を運んでいただければ幸いです。

 

今回は「誰が遊休資源(空き家)の活用問題に取り組むべきか」について書いてみました。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。